タイトル「 俳優:姜文のお話4 」
今回でこのお話はラストになります。それでは、どうぞ!
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姜文が新疆へ行った後はずっと、友人が携帯にかけても、聞こえてくるのは「お掛けになった番号は現在サービスの受けられない地区です」という声だけでした。
新疆に閉じこもって子供を教育していることが知られれば、多くの友人が好奇心でやってくるはずです。
姜文はそれを避けてるため、時期が来るまで黙っていましたが、ついに初めて友人たちを招待しました。
姜文は、新疆に来て半年が経ったとき、「モヤシ」のようだった二人の息子は、「イチイの木」のようになったと遠慮なく言い放ち、十数人の親友に、アクス地区に来るように電話で誘いました。親友一団はアクスで6台のジープを借り、二人のガイドを雇って壮大な旅路を越えてやってきました。
そこで親友達がまずおどろいたのは、高原のせいで大人でも息切れと頭痛がし、食べ物は喉を通らず夜も眠れないというのに、姜文の子供は元気に弓を持って走り回りウサギを狩って、濾過しても変な臭いと味がする水でも眉をしかめずに飲み干す・・・恵まれた環境に生まれたスターの子供たちとは似ても似つかず、どこにだしてもしっかり生活してゆける「野生児」だったのです。
初めは子供を連れて新疆に行くことに対して異論を唱えていた友人達も、もう何も言う言葉はありませんでした。
二人の年を足してもやっと10才にしかならない子供達は、ここにいるどの大人達よりも強靭でした。百聞は一見にしかず、この計画は確かに成功したのです。
しかし、姜文はまだまだこれは第一歩に過ぎないといいます。
彼のこれからの計画は、毎年まとまった時間をとり、子供達を最も辺鄙で困難な場所に連れて行き苦行を続けることです。今の子供達が不足しているのは、食べ物から得る栄養ではなく、苦労をする事だと姜文はいいます。
たくさん苦労する事は百利あって一害なし、体も鍛えられるし、能力も高まります。
若いときに苦労するのは苦労のうちに入らず、それは一生の財産となることでしょう。
ちょっと前に姜文はスティーブン・ジョブスの自伝を読み、その中でジョブスが何故この本を出版したかったのか、それは自分の子供達に自分がどんな仕事をしてきたのかを知ってもらうためでした。やさしい言い方でしたが、姜文は自分は同じようなことはしないといいました。
なぜ、子供達と接するチャンスを逃してしまった後で、一冊のお堅い本を通して子供達に自分が何をしたか伝えなければいけないのか。彼は、まだ時間と体力と考えのあるうちに、自ら行動を持って子供達に教えてあげたいのです。
どんなにワイルドでもいい、お父さんは傍に一緒にいるから!
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四回に渡ってのお話。いかがでしたか?最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!